SEX therapist 佳菜子の部屋

女性の性に寄り添う婦人科医のお部屋です♡

「処女膜切開に踏み切る前に!性交痛、挿入障害に処女膜切開は本当に必要なのか!?」

こんにちは♡

SEX therapist  佳菜子です♡

 

今回、性交痛に悩む女性たちのための情報発信サイトFuanFree/ふあんふりーの小林さんから取材のご依頼がありました!

事前に頂いた質問を見てみて、改めて皆さんがどのようなことに悩まれているのかどんなことが気になっているのかを知ることができ、とても勉強になりました。

小林さんがふあんふりーで「ドクター訪問記」という記事にして下さっていますが(こちらもご覧ください♡FuanFree|ふあんふりー|性交痛に特化した情報発信サイト)、取材をもとに、私自身もいくつかのコンテンツにわけて、少しまとめてみることに致しました!

 

今回、小林さんからご本人たちの素朴な疑問や気持ちを聞かせて頂き、感じたことは、とにかく「ご本人たちの中でも、誤解が多い!!」ということでした。

 

 

 

…まぁ、当然ですよね。そりゃそうですよね。

だって一体全体どんなことになっているのか、誰も教えてくれないんですもん!

 

パートナーのpenisが挿入できず、産婦人科クリニックに行っても、「別に異常ないよ」「慣れればできますよ」「気持ちの問題じゃない?」(これはある意味あっていますが…)「なんでだろうね?」「原因はわからないな」と言われ、一応、「異常なかったんだ。ちょっと安心」…と思って、挿入をtryするも、やっぱりできず…。

性行為歴のない女性は、基本的には子宮頸癌検診を受けなくてもいいのに、知らずに検診を受けに行った先の産婦人科の先生に「痛がり方がおかしい」とか怒られ…。

 

ご本人たちにしてみれば、ひどいもんですよね。😢

 

でも産婦人科医も、医学教育や臨床教育の中で性交痛や挿入障害、診察困難の対応や病態、治療法なんて習ってきてないんです。そんな女性がいることすら話にでません。

産婦人科医は研修が終わって入局後すぐにバイトに出され、一人で訪れた検診バイト先で初めて、「腟に物を入れようとすると痛がる女性」に出会います。時々、出会わずにずっと、こうした女性たちの存在を知らないまま何年も過ごす産婦人科医もいます。

そして出会ったとしても、よくわからないので向き合うことはありません。

 

でも、これは産婦人科医のせいではないんです(他者への想像力が足りないとは思いますが…)。医学教育と、性に関心の薄い社会のせいです。

 

性交痛や挿入障害の患者さんの中には、性行為をしたことがない10代や20代の頃に、生理の不調や腹痛で産婦人科を受診し、無理に診察をされそうになり痛くて怖い思いをしたという、明らかな性的外傷経験のある方も中にはいます。も、どうか、産婦人科医を嫌いにならないでください😢

 

…と、少しそれましたが、そんなわけで、性交痛、挿入障害を「原因不明」としているのは産婦人科医の知識不足によるものです。本当は原因はちゃんとありますし、もし原因がわからなくても、治癒のためのアプローチ方法はいくつもあります!

なので、ご自分たちの状態に「原因不明」とレッテルを貼り付けるのはちょっと待って欲しいな、と思っています。

 

そして、今回の小林さんとのお話でわかったことは、「原因不明」と並んで、ご自分を「処女膜強靭」だと疑っている方が結構多いということでした。

おそらく、「原因がわからない」から「どうしたらいいかわからない」不安な状況に、「処女膜強靭だ」から「処女膜切開をすればいい」と、解決策が提示され、さらに、ちゃんと診断せずに患者さんたちの希望で安易に処女膜切開を行うクリニックが多いからだと思います。

クリニックにしてみれば、自費診療で手技自体が簡単な処女膜切開は行いやすいという事情があります。

 

しかし、性交痛や挿入障害の方のなかで、実際に処女膜強靭が認められ、さらに処女膜切開が必要な方は海外の文献だと10%未満だといわれています。実際、私の患者さんの中にも、別のクリニックで何十万もかけて処女膜切開をしたのに、問題は解決しなかった、という方が数名いらっしゃいましたし、私の患者さんの中で処女膜切開が必要だった方は一人もいません。

 

そもそも、処女膜は腟口に360度方向から垂れ下がった切れ目のないカーテンのような構造をしています。処女膜が破れる、とはこの一部に切れ目ができるだけで、いわゆる「喪失」するものでも、びりびりに破れるものでもありません。

 

いろんな処女膜

 

一番一般的な処女膜切開術は、この切れ目のないカーテンの左右にちょんちょんと切れ目を入れてあげるだけのことなのです。とても簡単な処置です(場合によって、輪状処女膜切開術という、すこーしだけ手間のいる処置になることもあります)。

そして、この処女膜切開術、なんと、処女膜強靭に対して保険適応があります!!

医療報酬点数790点!7,900円です。3割負担なら2,370円!

輪状処女膜切除術でも2,230点。22,300円です。3割負担では6,690円です。

 

もちろん、麻酔を使う場合は麻酔管理料がかかったり、クリニックによってケアが違うのでその分のお金はプラスでかかるかもしれません。

だけど、そんなに高い処置ではないはずです。

 

もちろん、処女膜強靭が原因の方はゼロではないと思います。

ただ、性交痛や挿入障害の多くは、処女膜強靭が原因ではない別の原因によるものです。そして、多くは外陰部の観察やダイレーター・指の挿入訓練などの行動療法、会陰マッサージや骨盤底リハビリテーションで解決します。

 

本当にあなたの症状に処女膜切開は必要でしょうか?

 

性交痛や挿入障害の方は、是非一度、どうして痛いのか?どうして入らないのか?

お話を聞かせてください。あなたに合った解決方法を一緒に考えてみましょう!!

 

元町・中華街 女性医療クリニックLUNAネクスト、女性性機能外来でお待ちしております♪